さらに続き

なんかやたらとこっそり言及しまくってるけど。というのも、今回の議論には本格ミステリ批評の重要なポイントが埋め込まれていると思っているから。すでに書いたことだけど、彼の論に反論するだけでは、さらに拡がる議論にはならなくて(ただここには今の本格ミステリ界における価値観のタコツボ化という隘路が見えて、その意味では面白い)、でもその一方でこの議論から叙述トリック周辺の議論が活性化する可能性は大いに秘めてる。まぁ本音を言わせてもらえば、僕が文章化するまで待ってくれ、なんだが。
やはり叙述トリックに関して考えるなら、ひとまずその定義をすることも大切だけど、英米黄金期本格やさらに遡って、ポーの作品(適切なのは「おまえが犯人だ」辺り)における叙述法を詳細に分析していく必要がある。それがひいては本格において叙述トリックの位置付けを明らかにすることに繋がる、はず。
はっきりいって『被害者Xの献身』が本格と思うかどうか、なんて本格ミステリ評論の活性化に繋がるとは全く思わない。彼はその部分を根本的に勘違いしてるとは思う。単行本化されてるものだけをもって評論にいいものがないと言うのもなんだかな、と。要は彼のよくわからない喧嘩ごしの姿勢が一番、問題だと思うわけだけどさ。