『いるみ』羅針盤

いるみ

山本精一率いるうたものバンド(?)の第六作。この作品ではそれまでのベース抜きの編成で製作されたらしく、確かに低音があまり効いていない。ただ個人的にはそのことで前面に出されたギターと、より高まった浮遊感がとにかく気持ちいいと思う。ギターリフを積み重ねることでベースにはない、足元の定まらない感覚が生じていてその感覚が綺麗なメロディと透明な山本精一の声と一体になって、強烈なサイケデリックを生み出している。その辺りはVELVETのバナナを思い出させるかもしれない。静かで極上のサイケデリア。静かな狂気ほど綺麗で恐ろしいものはないと思う。