『龍の議定書』『殺竜事件』『紫骸城事件』

本格ミステリではないですが。この発想はすばらしい。訒小平蒋経国蒋介石の孫)を握手させるイベントを宣通(電通がモデル)に企画させるという着想。さらにそれに孫文やらフリーメーソンやらが関わってきて盛り上げるサスペンス。そしてラストの見事などんでん返し。いや、一級のミステリーだと思います。

殺竜事件 (講談社ノベルス)

人間には遠く及ばぬ知能と力、そして魔法力を操り、世界中から畏怖の念を持たれている竜の種族。そんな不死身とも言える竜が殺される。しかも魔法力も何も付与されていない単なる鉄棒を首に刺されて。誰が何のために、そしてどのようにして?

先日の『禁涙境事件』のシリーズ第一作、再読。これも魅力的な謎ではあるけれど、もう少し解決の前にきちんとした竜の説明が欲しかったところ。とはいえ解決に至る視点の転換はシンプルな盲点を突いていると思う。ちょっとわかりやすいかもしれないけど。

紫骸城事件 (講談社ノベルス)

約300年前に最凶の魔女リ・カーズによって建てられた紫骸城。壁が全ての魔法を吸収してしまうその城では、毎年魔道師ギルドによる魔道大会が開かれていた。そこで起こった不可解な連続殺人事件。ある者はカラカラに干乾びて、ある者は試合中に突然つららを刺されて、ある者は体中の血を抜かれて。しかもそのどれもが魔法でも説明できない状況だった。

そしてシリーズ第二作も再読。前作に続いて、魔法のルールのある種の盲点を突いた着想ではあるんだけど、ちょっと納得しづらい。確かに綺麗だしまとまっているんだけど、果たして読者がその盲点に気付いたとして、そこから事件の真相にたどり着けるかというと・・・。やはり魔法のルールがいくら厳密に定められているとはいえこういう盲点を突けばこういうことが起こる、と読者は断言出来ないと思う。もう少し魔法のルールを(謎に関する部分だけでも)簡単にするともっとよくなるのでは、と。西澤保彦のSFミステリで『七回死んだ男』とか『人格転移の殺人』が代表作に挙げられているのはやっぱりルールがある程度わかりやすくて、さらにそこの盲点を突いてくるからだと思うし。まぁこのシリーズは面白いので明日にでも『海賊島事件』を買ってこよう。
ミニコメのつもりがどんどん長くなっている・・・。