貫井徳郎『愚行録』 ≪評価:2+≫

愚行録
年末に大掃除をしていたら、本棚の奥から転がり出てきたので読了。帯に『慟哭』『プリズム』に次ぐ第三の衝撃、みたいなことが書いてあるのですが、まぁうん、ね。
ひとまず構成は全編、インタビュー形式(とは言ってもインタビュアーの言葉はなし)で、そこに少女の独白めいた会話が挟まれるという形。おそらく「衝撃」というのは、作者が徹底的に人間のイヤな面を書いているという点にあるんでしょうが、うーん、結構、想定の範囲内でしかなくてあまり面白くなかった。あえて現実と照応させるならこれくらいのことそれなりにみんな考えてるだろうし、他人がそうしたことを考えているというのも了解済みなんじゃないかという思いが拭えなかった。イヤなところはあっても、西澤保彦みたいに突き抜けたものではないよな、と。こうした形式を用いることによる若干の引っ掛けもあったりして、あとインタビューイによって人物の見え方が異なるというような点は確かに先に挙げた二作の作者らしいけれども…。ううん、ちょっと期待外れだった。