『批評理論入門』廣野由美子

批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)
本書、第一部「小説技法篇」では、小説に用いられている手法にはどのようなものがあるかが示され(ナラトロジーポリフォニー、さらには異化やインターテクスチュアリティなど)第二部の「批評理論篇」では小説が読み解かれる際にどういった理論が使われてきたのか、(伝統的ともいえるジャンル批評や脱構築、ニューヒストリシズム等々)をテクスト『フランケンシュタイン』を使って解説していったもの。
深く知るためにはもちろんより詳しい評論に当たらなくてはいけないけれど、初歩的なガイド本としても、頭を整理するためのものとしても読める。でもそれより驚かされるのが『フランケンシュタイン』というテクストの豊かさ。いくつか納得しかねるものがあったりしはするけれど、ここまで多様な読みを許容してしまうとは思わなかった。文学理論に関心のある人は一度目を通してみるといいのでは。