『れんげ野原のまんなかで』森谷明子

れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)

秋庭市の外れのススキ野原、その真ん中にある市立秋庭図書館。そこで文子は今日も、先輩の日野や能勢と共に司書の仕事に精を出す。ところで能勢は些細な物事から何かを導き出すことに長けていて、図書館で起こる様々な謎にも答えを出していく。

こちらは『千年の黙』で第13回鮎川哲也賞を受賞した著者の受賞後、第一作。短編集です。東京創元社お得意の「日常の謎」に属する短編集。この人もそれなりに文章が書ける人だと思うので、その点は問題なしか。ただやはりミステリとして何か新しいかと言われると微妙かなぁ。『インディゴの夜』よりかはミステリ的な構成もはっきりしているし、手掛かりもばら撒かれていてきっちり作られてはいるんだけど、結局、手堅くまとめました以上のものを感じなかった。「日常の謎」派が好きな人は買ってもいいかなと。