『Colossal Youth』YOUNG MARBLE GIANTS

Colossal Youth
80年に出された彼らの唯一のオリジナルアルバム。ギター、ベース、オルガン、打ち込み(リズムボックス)という最小限の楽器でこれまたひたすらに少ない音数で演奏される曲はまさにスカスカという言葉がピッタリです。そしてそこに乗せられる女性Voもお世辞にも上手いと言えません。しかし言葉を並べてみると最低に見えるこのアルバムは恐ろしいほどに完成されています。紡がれるベースやリズムボックス、そしてそこに思い出したように鳴らされるギターの音、これらが見事なまでに的確な位置で演奏されているのです。その結果、出来上がった曲には緊張感が漲っていて、ただしそれはヒリヒリするようなものではなくどこまでも聴く者を引き込んでしまう得もいえない緊張感でもあるのです。ダラダラと演奏されることなく、短い演奏時間という潔さもこれに一役買っているのでしょう。しかもこれらのことが、例えばWIREのように確信犯的に行われているのかというとどうもそうではなく天然のような気がして、そこもまたすごいと思う次第です。