『闇のなかの赤い馬』竹本健治

闇のなかの赤い馬

聖ミレイユ学園に通っている主人公の僕こと室井環は「汎虚学研究会」、通称キョガクに在籍している。ある日、ウォーレン神父が校庭で雷の直撃を受けて死亡。数日後、今度はベルイマン神父が密室の中で自然発火としか思えない不思議な焼死を遂げる。キョガクのメンバーの一人、フクスケは僕らを巻き込んでこの謎を解明しようとするが、その一方で僕は毎晩のように気味の悪い赤い馬の夢にうなされていた。

竹本健治、久しぶりのミステリー書き下ろし。少年少女向けとはいうものの赤い馬の描写や美少年の登場など、竹本健治っぽさはいつもどおり。密室の解明はなんというかバカミスといっていいかもしれない。その状況を想像すると…。でもそのトリックが綺麗にきまっていて、馬鹿馬鹿しさは感じず、なるほどと思わされる。ロジックは想像での補いが多い気がするけど、僕が見る夢も含めて伏線もきちんとわかりやすく張られている。そうした部分は子供でも大人でも納得できると思う。むしろもう少し色々と書き込んで、他のレーベルから長編として出しても問題ない出来だろう。ただ動機と僕の夢のもう一つの意味合いはなかなかにアダルトですな。小学生とかわかるのかな?