『太陽の塔』森見登美彦  

太陽の塔
第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。以前、書店でブラブラしてる時に見つけたもの。

「何かしらの点で彼らは根本的に間違っている。
 なぜなら私が間違っているはずがないからだ」

この紹介文を一目見て面白そうと思って即購入。帰りの電車で読み始めたがいや面白い面白い。なんたって主人公は「研究」と称して自分を振った女の子をつけ回す日々を送っているのだ。そしてそんな主人公に勝るとも劣らない友人達と繰り広げられる妄想の日々。飄々とした文体で描かれるそれらはどこか、そして何故か親近感を感じさせる。そうか、なんとなく乙一の文体に似ているかもしれない。だけど妄想にバカ笑いってだけの作品でもない。ラストの情景なんかはそれまでの妄想がウソのような静けさに包まれている。あまりこの作品について多くは語れないなぁ。なんというか一人一人が楽しむべき作品のように感じるんだ。