相対性理論『ハイファイ新書』 ≪評価:5≫

ハイファイ新書
『シフォン主義』で一躍、有名になった彼らの新作。とりあえず「LOVEずっきゅん」をニヤニヤしつつ聴いていたらいきなりギターやベースが跳ね出す後半の展開にやられてしまって、「スマトラ警備隊」で彼らを全肯定することになった僕ですが、今作はそうしたインパクトのある曲は影を潜め、全体的にミディアムテンポが貫かれている。いやしかしこれが非常にバランスがいい。ギターがちょっとニューウェイブ的でなかなか油断できない展開を見せつつ、でもその音は鋭く鳴らされずにクリアトーンで自己主張がそこまで激しいわけではなし。その後ろで鳴っているベースはしっかりうねってるし。メロディはどこまでもポップで、そこに乗る歌詞は相変わらず語感の良さだけで選ばれているような不条理なものでありつつも、このボーカルが歌ってこの曲にはめ込まれるとなんだか風景が見えてきそうな感じがして妙にはまってる。とりあえず「地獄先生」のサビとかで出る、声がかすれる瞬間はエロい。全9曲で30分強というボリュームもいい感じ。