THE NATIONAL『BOXER』 ≪評価:5≫

Boxer [輸入盤CD] (BBQCD252)
ええと周辺情報は何も知りません。akiuさんの絶賛を見て購入してみたわけですが、本当によかった。
全体として確かに地味とも感じられる曲が並んでいるけれど、まず何よりも個々のパートの音のバランスがいい。決してどれか一つの音のみが焦点化されておらず、かといって全てが曖昧になっているわけでもなく、絶妙の大きさで演奏されているし、どれかが妙に自己主張していたりしない。曲調は割りと暗めで、メロディに大きな起伏もあまりなく、今のところの印象としてはヴェルヴェッツなどのニューヨークパンクに通じるものがあると思う。それから曲調や声の低さなんかはJOY DIVISIONに通じるものがあるかな。メロディに起伏がないと書いたけれど、メロディやギターの反復(あとたまに出てくる奇妙なギター)が合わさってサイケデリックな匂いが染み出してきていて、その辺りはものすごく好みであります。このサイケな匂いはかなりこのCDのポイントなのでは、というのも、どの曲においてもほぼ必ず何らかの音や楽器が通底音のように流れていて、そうしたうねりのようなものを作り出していると思うのです。いや、それにしても実に素晴らしいアルバムだったですよ。