せっかくなんで果たして本当に森博嗣デビューのときに、評論家ばかりが彼を評価していたかを調べてみた。ただし96年と97年の本格ミステリベスト10のみ。

1996年

この年は『すべてがFになる』が4位に入っている。ちなみに刊行されたのは『すべてが』『冷たい密室と博士たち』『笑わない数学者』の3作。以下、票を入れた人を列挙。作品名と順位をつけている場合は()内に記入。
倉知淳(『すべてが』3位)、光原百合(『笑わない』3位)、新津きよみ(『すべてが』3位)、村松恒雄(『笑わない』4位)、瀬尾こると(『すべてが』2位)、辻真先(『すべてが』1位)、笹川吉晴(『すべてが』5位)、永田正夢(『すべてが』、『笑わない』)、笠井潔(『すべてが』3位)、田中博(『すべてが』1位)、成川裕子(『すべてが』)、関根亭(『冷たい』)、大森望(『すべてが』5位)、古澤暢之(『すべてが』2位)、岸野晋司(『すべてが』4位)、我孫子武丸(『すべてが』2位)、遅塚久美子(『すべてが』1位)、池谷真吾(『すべてが』1位)
研究会のメンバーは笠井潔、田中博の二人。笹川吉晴はこの時点ではメンバーではない。あぁ池谷真吾は評論賞に投稿してた人だけど。ちょっとこの年はまだ「創元推理」誌上での企画だったので、投票してる人の素性がよくわからなかったりする。なのでもしかしたら他にもメンバーがいるかもしれないけれど、その可能性は薄いんじゃないだろうか。

1997年

この年は『封印再度』が9位、『幻惑の死と使途』が11位に。刊行されたのは『詩的私的ジャック』『封印再度』『まどろみ消去』『幻惑の死と使途』の4作。
清涼院流水(『封印』2位)、倉知淳(『幻惑』)、太田忠司(『幻惑』1位)、矢口敦子(『詩的』5位)、辻真先(『幻惑』1位)、永田正夢(『封印』、『幻惑』)、柄刀一(『封印』3位)、二上洋一(『封印』2位)、緒川奈津子(『封印』)、河田陸村(『幻惑』1位)、荒俣勝利(『幻惑』4位)、鷹城宏(『封印』1位)、佐藤玲子(『幻惑』3位)、田中博(『詩的』4位)、椎谷研梧(『まどろみ』5位)、大森望(『封印』1位)、関根亭(『まどろみ』)、氷川透(『幻惑』3位、『詩的』4位)、恩田陸(『封印』2位)、
研究会のメンバーは、鷹城宏、田中博、椎谷研梧の三人。

さて、揚げ足を取るような細かいことだけれど、二階堂が言っているように「本格ミステリベスト10」において、デビュー当時の森博嗣に投票しているのは決して評論家が主だったわけではないことは示せたように思う。もちろん、このまま去年まで順に投票結果を見ていかないといけないが

たとえば、森博嗣氏が出現した時、こぞって彼の作品を称揚し、「本格ミステリ・ベスト10」のアンケートに投票したのは誰だったか。それは、探偵小説研究会を中心とする本格系評論家であった。

という点は、かなり主観に基づいた意見であることはわかる。せめて事実確認くらいはしてから論じてほしいと思う。この調子だと、他の部分についても恣意的なねじ曲げを疑わざるを得ない。ま、ある程度わかってたことではあるが。
はぁせっかくの暇をこんな無駄なことに使っていいのだろうか。寝ます。