『神様ゲーム』麻耶雄嵩 ≪評価:4≫

神様ゲーム (ミステリーランド)

ぼくは黒沢芳雄、小学四年生。クラスの友達四人と探偵団を結成してる。最近、ぼくの町で猫殺しが連続してて、その犯人探しでもしようかってなってるところ。ある日、転校してきたばっかりの鈴木君が「ぼくは神様で、何でもわかる」なんて言い出した。じゃあってことで猫殺しの犯人の名前を教えてもらったんだけど・・・。どうしてこんなことになっちゃったんだろう?

麻耶だからすぐに感想書いてしまいます。麻耶雄嵩、「少年少女のための」ミステリーランド書き下ろし。わざわざ括弧付きにしたのはもちろん意味がある。これ、子どもにはお薦めできない・・・。なんて後味の悪い小説を持ってくるんだ(笑)。まごうことなき麻耶印ですよ。だからいいんだけど。いやほんとこれ読めば麻耶がわかると言ってもいいかも。以下、ネタバレになる箇所もあるので未読の方はご注意。



まずこれが麻耶作品の特徴をよく表していることはおそらく異論のないところで。例えば重要と思われる登場人物の死なんかでもそれはわかるけど、何より自称「神様」の鈴木君。これはつまりメルカトル鮎と同根の存在ですね。あそこまでエキセントリックではないけど。作者がこれと決めた真相を提示する役割。終わり方なんて、あからさまに『夏と冬の〜』だし。ミステリとしても小粒ながら、よく出来てると思う。というか後期クイーン的問題から見て面白い。結末直前で芳雄が到達する真相は、いわば一種の犯人による操りになっていて、しかもそれが子どもを操作する大人、という構図に重なる辺りが設定としても構造としても上手い。同時にもちろん後期クイーン的問題に直接的に関わってくる真相でもあるわけで。『夏と冬〜』でやっていることの反復と言われるとそれまでだけど、推理部分と真相部分の間に空白を作る、という手法は麻耶くらいしかしていないし、面白い手法だと思う。やっぱり麻耶雄嵩麻耶雄嵩だった。これからもついていきます(笑)。