『時限絶命マンション』矢野龍王

時限絶命マンション

あるマンションである日、唐突に開始された恐怖のゲーム。それは指定時間に、その時間の書かれた人形が自らの部屋にあると、首に巻かれた首輪が爆発するというものだった。お互いに悪魔の人形をなすり付け合うマンション住人。高校生であり、大家でもある僕、時田恭二も否応なしに巻き込まれ・・・。

わっはっはっはっはっは。どうしよう、ここまで酷い小説に出会うのなんていつ以来だろう。いやもしかすると初めてかもしれない(笑)。ネタバレ全開で行きますよ。大体ね、文章が酷いとか人物描写がなってないとかそういう問題じゃないんですよ。そんなのはミステリでいうなら設定とか問題意識とかトリックだとか他の部分で評価できると思ってるので。でもこれは・・・ただの流用です。『バトルロワイヤル』の舞台をマンションに移してそしたら時間毎に侵入禁止のエリアを作るってのに無理があるからじゃあいっそそれを受け渡し可能なものにしちゃえってことで人形を持ってきた、と。あと前作と同じ設定を使いまわししてるし。それプラス文章等がまた酷い。たぶん作者は多少ハードボイルドっぽいセリフ回しを狙ってるんだろうけど、それが浮きまくり。人物描写も酷いし。最後に一人生き残った主人公がそのことについて葛藤する場面。

「わああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」叫んだ。「わああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」僕は両手それぞれを固く握り、俯いたまま大きな声を張り上げた。「わああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

爆笑ですよもう。それとバトロワをするなら、死ぬときの書き分けくらいちゃんとしてくれ。しっかし首輪が爆発して死ぬなら叫び声はあげられないはずなんだけどな。みんなしっかりと断末魔の悲鳴を上げて亡くなってらっしゃる(笑)。
展開もご都合主義全開で、さらに後半は支離滅裂。少し腹減ったくらいでペットの猿食おうと思うか?極めつけは犯人がこれをしようと思った理由が激しくわからない。これ致命的だよね。いやまぁマンションの地下?に埋められたのを掘り起こすためってことなんだろうけどそれだけのために住人ほぼ皆殺しにして、マンション解体させようとまでするかね。そんくらいなら適当に工事を偽ってすりゃいいじゃないですか。あとボンボン爆発音して戦車もどきまで出てきてるのに全く気付かない警察と近隣住人てのも素晴らしいですね。あーいかんいかんこんなこと言ってたらいつまでたっても終わらない。要するに出来が最低レベルの作品ということを踏まえた上で、それでも読んで笑いたい、あるいは怒りたい
というある種、奇特な方向けのマニア本となっております。