『Lesser Matters』THE RADIO DEPT.

Lesser Matters

スウェーデンのバンド、THE RADIO DEPT.のデビュー盤。基本は美しいメロディにフィードバックギターというシューゲイザーサウンドなんですが、単にそこに留まらない奇妙な感覚がアルバム全体を支配してるように感じます。何故だか妙に荒いドラムや音全体にエフェクトがかなりかかっていることもありますがギターの使い方が少し変わっているようで、そこがポイントなのかなと思います。やはりシューゲというとマイブラがまず挙がってくるわけですが、彼らのサウンドにおいてギターはボーカルやメロディを押しのけかねない(というか実際、押しのけているわけですが)過剰さを孕んでいます。しかしこのバンドのギターは、他の音要素とは少し離れた場所を埋め尽くすように鳴らされている、そんな気が。そのためノイジーでありながらクリアという二つの異なるベクトルを併せたような印象を受けます。無理矢理例えるなら、マイブラが彼岸の音楽と形容されるならば、このバンドは夢の音楽といえるでしょうか。それドリームポップだろと言われればそれまでですが、聴いている時の感覚は幸せな夢を見て、しかしそれを覚えておらず幸せだったということだけが残っている、そんな感覚に似ていると思います。幸せそうにまどろんでいる(ように見える)男女の絵のジャケも、そうした印象を後押しします。ギターロックではなく単なるポップとしても名盤と言えるのではないでしょうか。今、アマゾンのREVIEWを見たら、バンドの正式名称はTHE RADIO DEPARTMENTとのことです。