『バトル・ロワイヤル』高見広春

バトル・ロワイアル
再読。
この作品がホラーかと尋ねられたら、僕はホラーでないと答える。
この作品が感動するかと尋ねられたら、僕は少なくとも感情を揺さ振られると答える。
この作品を出版するかと尋ねられたら、僕は出版すると答える。
この作品が物語として安易ではないかと尋ねられたら、僕は安易だと答える。しかしその安易さゆえに素晴らしい小説になっているとも答える。
この作品が倫理的か否かを訪ねられたら、僕は倫理的だと答える。
この作品が巷で言われているように現実社会の暗喩、あるいは何らかの問題提起をしているかと尋ねられたら、僕はそういう読み方をするならあまりいい作品ではないと答える。(何故ならこの結末は結局、主人公がアウトサイダーになるしかなかったということなのだから。)
この作品が問題作かと尋ねられたら、僕はおそらくどのような意味でも問題作ではないと答える。
最後にこの作品が傑作かと尋ねられたら、僕は答えに窮した挙句、違うと答える。
否、正確には青春小説として娯楽小説として傑作だが、上に書いたように読むなら失敗作だと答える。