『奥様はネットワーカ』、『誰彼』

初読。うん長編というよりは中編程度の作品ですが、このトリックはその長さにあってると思う。森博嗣は実はこういったトリックにもかなり意識的に向かい合ってる気がする。さっと読むには手ごろな作品と言えるでしょうか。

再々読くらい。法月の著作の中でも屈指のハードパズラー。文庫版で420pと、かなりの分量にもかかわらず作中で起こる殺人事件は一件のみ。つまりそれだけ論理が錯綜し、かつ丁寧に作りこまれているということです。もちろん後書きで著者自身が言ってるように、穴はあるんですけどそれにしても首切り殺人という、方向性が実に多岐に渡る事件を扱い、さらに複雑な人間関係を織り込んだ上できっちりと論理的な考えを構築していく手腕は見事だと思う。しっかりと流れを追って読んでいくと、ちょっと疲れるくらい濃密です。