『極西文学論』

仕事休みに『極西文学論』を少し読む。『群像』連載時にも読んでいたので。割と面白い評論、というか本だと思うんだけど、連載時から感じていた疑問が幾つか。この本では「視線」の問題が主題の一つとして据えられていて、そこでは、例えば吉本隆明が言うような上空からのみという一方向の「視線」ではなく様々な方向からの「視線」を使って、それらが交わる場所を描き出すのでなければその世界は立体的にならないというような展開が為されてます。で、一方でアメリカから見た日本を「極東」ではなく太平洋⇒日本という方向の「極西」として捉えるということもされている。ここで一つ思うのは大きな視点で考えたときは東か西か、という一方向の「視線」でいいのかということ。反対の方向ではあるもののベクトルの向きを逆にしているだけでは。わかってやってることの気もするけど。もう少し丹念に読んでみなければ。「視線」というのはそれこそ「語り」や「読むという行為」に直接に関わってくるわけで。