『Family』Polaris

Family (初回限定プライス)

Polarisの2ndアルバム。1stではどちらかというとゆったりとしたテンポでディープな楽曲が中心でしたが、今作では前作よりも軽快なナンバーが連打されています。前作が聴いている一瞬を数瞬に引き伸ばすものだったとするなら、今作にそうしたマジックはありません。代わりにあるのは個々の曲がどこまでも日常に寄り添って流れていき、体に浸透していくというマジックです。1stのようなシンプルなうたものを期待していた方には、少し音が賑やかになったと感じられるかもしれません。しかしグルーヴィーなベースとタイトで抜けのいいドラムによるリズム、そしてその上に被さる心に染み込むような透明なVoは全く変わっておらず、むしろ前作に比べその三人の持ち味がよりそれぞれの曲に昇華されている印象を受けます。前作ではやはりどこか元FISHMANSの〜という形容詞から抜け出せていない気もしたのですがこの作品ではそんなことは拭い去られ、彼ら三人の音を出しているのです。曲のどれもが名曲といえる出来であり、いついかなるときに聞いたとしてもどこか幸せな気分にさせられるはずです。またM-8,9のまるで人力トランスかと思わせるようなシャープな演奏も聞かせてくれていて、彼らの新しい一面を垣間見させるアルバムとなっています。前作よりも間口は広がり、その意味でもPOPの名盤といえるでしょう。また彼ら独特の浮遊感がありつつもベースによって足元はしっかりしているライブも必見です。是非とも何らかの形で触れてみてもらいたいと思います。