『WELCOME TO THE NORTH』THE MUSIC

WELCOME TO THE NORTH

2002年のデビュー作『THE MUSIC』で大絶賛を浴びた彼らの第2作。
一作目の延長を期待してプレイボタンを押すとしばらくの間、考え込んでしまうかもしれません。以前にここでも書いたように1作目に感じられたほどのグルーヴ感は少し薄れてしまっています。ただしアルバムを通して聴いてみると、それはグルーヴ感を押さえようとしてなったのではなくて、それ以外の要素(特にギターの成長が顕著)が分厚くなったために相対的に感じられてしまうことなのでしょう。しかしその結果、曲単位で見た場合、どことなくハードロックのような第一印象を受けてしまうことも否めません。それらの曲もしっかりと聴くと後ろにはあのグルーヴ感が残っており、またリフなどもなかなか面白いのですが。
にしてもやはりこの若さでこうした曲の展開、構成力は並ではありません。大いに今後も期待、と言いたいところなのですが、そこにはどうしても一抹の不安が残ってしまいます。彼らの胆(と個人的に思うもの)は、あくまであのグルーヴ感にあると思うのです。いくら相対的にとはいえ、その胆が薄れてしまうのは非常に残念でなりません。この作品を一言で言い表すとするなら”大人への成長”という言葉が的確かもしれません。誤解を招くかもしれない言い方をするなら、この2ndは作り込まれた作品と言えるでしょう。単純に曲のみを考えれば1stより2ndの方がクオリティは断然高いと思われます。ただ相変わらず透明感のあるVoとは裏腹に、1stに渦巻いていたような青臭い初期衝動が感じられないのです。彼らの混沌としたグルーヴには小綺麗にパッケージングされたものより、少年の青臭さが似合うのではないでしょうか。ラストM-12の後半で怒濤のように繰り広げられる荒々しいサイケデリアに彼らの未来を見たいと思います。