『The Lost Riots』HOPE OF THE STATES

Lost Riots

UK出身バンドのデビュー作品。外資系CDショップでも非常に推されている模様です。「レディオヘッド好きはぜひ!」といったような推薦文に相応しく一曲目からUK直系と言える叙情溢れるメランコリックな音を響かせてくれます。その音はどこかMERCURY REVにも繋がる儚さを持っていると感じる人もいるでしょう。またそれだけにとどまらずMOGWAIやGYBEに通じる、というより明らかに影響を受けているであろう轟音ギターをちりばめたシンフォニックな音、曲構成も見逃せないところです。ノイズギター等で音空間を埋め尽くしていくということはあまりないのでシューゲイザー的な部分を期待しすぎると少し拍子抜けする感が無きにしもあらずですがおそらく逆にそのことが、つまりギターを重ねる代わりにヴァイオリンとピアノを入れることがこのバンドのメランコリックなメロディーを一層、引き立たせていると思われます。
ただ、一聴しただけで判断するのはもちろん早計ですが、日本盤の帯から想像されるような不穏な空気は感じられないことが残念ではあります。おそらく歌詞を軽く聴き取る、あるいはバンド名から考えるにどこかGYBEと似通った考えを持っているのではないかと思われるのですが、GYBEにあるような光と影の対比とそこから生み出される危うさ、緊張感があまり伝わってこない、というのが現在の僕の感想でしょうか。しかしいいアルバムであることは間違いないと思われるので上記のようなバンドが好きな方はぜひチェックしてみるとよろしいのではないでしょうか。