『この世の外へ クラブ進駐軍』

この世の外へ クラブ進駐軍 [DVD]

どうも気になったのでもう一度鑑賞してみる。見直してみると最初よりいい映画だと思った、あはは。
最初は個々のエピソードやら何やらが多くて、それらがあまり書き込まれてないなと思ったんだけど
改めて見ていくとそう気にはならなかった。むしろ断片的なものを積み上げていくことで
戦後の混乱具合を表現してると捉えたほうがいいのかな。ただもう少しだけ絞ってもよかったとは思う。
この世の外へ」とは主人公たちと友人になった米兵が、朝鮮戦争に出兵する前に書き上げた曲のタイトル。
もちろん「この世」とは戦争の後に再び戦争に巻き込まれようとしている状況に違いない。
そこから離れたいと、その「外」を志向した彼は、それでも半島に赴き戦死してしまう。
彼が残した曲を彼が勤務していた基地で(おそらく)最初に演奏するという皮肉。
さらにその日、彼らの演奏をバックに次回の出兵者が発表されるという皮肉。この部分は上手いなと思った。
当初、戦争が繰り返される世界、状況から抜け出したいという意味を持っていた曲の演奏の後に
出兵者発表のバックとなる曲を演奏させることで、「この世の外へ」というメッセージは強烈に転化させられる。
そしてそれを為すのは結局のところ戦争であり、人間だ。
この映画が放っているものは音楽による超越への希望だとかではなく、
そんなものを一瞬にして打ち砕いてしまう戦争の暴力、人間の暴力なんだと思う。
まぁそういうの考えなくてもいい映画です。役者みんなかっこいいし(笑)。オダギリジョーはやっぱいいと思う。