『鬼神伝 鬼の巻』高田崇史

鬼神伝 鬼の巻 (ミステリーランド)
ミステリーランド第三回配本の一冊。四月には同じくミステリーランドより続きが出る予定。一応この巻で簡単な決着はついてるんだけど物語の大きな部分ではやはり物足りない。次が早く読みたいな。

転校生の天童純は生まれたときから胸に痣を持っていた。ある日、見知らぬ寺に迷い込んだ純は寺の僧によって、人と鬼が争っている平安時代に飛ばされてしまう。胸に痣のある純は、オロチを操って鬼を退治する使命があると言われ鬼と戦うが…。人と鬼の戦いに隠された秘密とは?

とまぁこんなあらすじなんですが。これまでに同作者の「QED」シリーズを読んだことのある(特に『式の密室』辺り)人なら、この物語で作者が言っていることもよく解ると思う。逆にこれまで「QED」シリーズを読んでいない人や子供にとっては少しわかりにくいものになってるんじゃないだろうか。特に子供には難しいんじゃないかなぁ。いきなり鬼も人も同じだとか言われても。平安時代が舞台ということもあって人名や地名も子供にはわかりにくい気がする。まぁなんにせよ次の『神の巻』を読んでみないことにはね。
ミステリ部分はおそらくミステリに読み慣れた人ならわかるだろうけど、子供に提供する分には全く問題がないと思う。伏線の楽しさと認識の反転を味わえるのでは。まぁ子供にはちょっとわかりにくいかもという鬼の部分を除けば、子供はわくわくして読めるんじゃないかな。あ、大人が読んでも懐かしい感じがして、いい話。なんというかこうした話の流れに忠実な展開でベタと言えばベタなんだけど、だからこそおもしろかった。